歯科用器材の選び方
独特でわかりづらい歯科用器材について、
先生方からよく頂くご質問とその回答・解説について。
谷口 大地
歯科ディーラーで5年間勤務し、その後Ciメディカルに入社。約10年間の歯科業界での経験と知識を活かし、日々様々なご質問に対応しております。
01 切削用バーや研磨用ブラシ等が、どのハンドピースに適合するのか?
歯科用のダイヤモンドバーやポリッシングブラシには商品によって接続部分の規格(HP、FG、CAなど)があります。どのハンドピースに適合するかはこの規格で判別できるようになっています。
【HP】
全長が約45mm前後と長い点が特徴です。整形外科用のサージカルバーとしてもよく使われる規格です。ストレートHPに適合します。
【FG】
狭い口腔内での操作性を考慮し、全長が約20mm前後と短い点が特徴です。エアタービンや5倍速コントラアングルに適合します。
※FGアダプタ(P226)を使用すればストレートHPでも使用できます。
【CA】
接続部分の凹形状が特徴です。等速コントラアングルやCA対応のプロフィーコントラアングルに適合します。
※プロフィーコントラアングルはCA対応とスクリュータイプ対応の2種類があります。スクリュータイプ対応のプロフィーコントラングルにはCA規格の研磨用ブラシ等は適合しません。
【スクリュー】
CAタイプと比較してさらに全長が短く、狭い口腔内での操作性に配慮されています。接続部分がネジ形状になっている点が特徴です。スクリュータイプ対応のプロフィーコントラアングルに適合します。
※PMTCマンドレル(P222)を使用すればCA対応のプロフィーコントラアングルにも適合します。
02 マイクロモーター(マイクロエンジン)が、どのハンドピースに適合するのか?
マイクロモーターとハンドピースとの接続部はほとんどISO規格(Eタイプ)に対応したものになっていますが、「注水の有無」や「ライト付き・無し」など様々なタイプがあります。
ここでは注水なし・ライトなしタイプのマイクロモーターとハンドピースとの適合について回答・解説します。
【ストレートHP】
適合します
【プロフィーコントラアングル】
適合します
【エアタービン】
適合しません
エアタービン用のユニットが必要になります。
【等速コントラ】
ライトなしタイプのハンドピースは適合します。ライト付きタイプのハンドピースの場合は接続部分に突起があり、適合しないケースが多いです。
またハンドピース側が注水ありのタイプでもモーター側に注水機能がなければ注水はできません。
【5倍速コントラ】
ライトなしタイプのハンドピースは適合します。ライト付きタイプのハンドピースの場合は接続部分に突起があり、適合しないケースが多いです。
またハンドピース側が注水ありのタイプでもモーター側に注水機能がなければ注水はできません。
03 自分の歯科用ユニットに適合するハンドピースはどれか?
【マイクロモータータイプの歯科用ユニット】
動物用歯科ユニットデイジー(オサダメディカル)やビバエースコンプリートセット動物(NSK)などはマイクロモータータイプの歯科用ユニットになっています。接続部はほとんどがEタイプという規格になっています。
ユニット側とハンドピース側の両方が注水ありタイプであれば注水できます。
また両方がライト付きタイプであればライトが点灯します。
【エアー+エアーモータータイプの歯科用ユニット】
オーラルベットII(モリタ製作所)やAirVetsDC52(エム・エスグループ)などはエアーが1本、エアーモーターが1本の構成になっています。
【エアー】
エアーは主に高速回転用で歯牙の切削や分割の用途で、エアタービンと言われるハンドピースが適合します。エアタービンはカップリングと言われるパーツに接続します。このカップリングの形状は各メーカーによって形状が異なるため、エアタービンも各メーカーに合うものの選択が必要になります。
【エアーモーター】
エアモーターは動力源はエアーですが、マイクロモーター用ハンドピースに適合する形状になっています。主に低速回転用でプロフィーコントラアングルや等速コントラアングル(ライトなし)を接続してポリッシングの用途に使われます。
04 歯牙の切削や分割などをやりたい場合、どれを選べばよいか?
マイクロモーター(マイクロエンジン)を使った場合のおすすめの構成。
※「ライトなし、注水なし」の構成になります。シリンジ等で注水しながらご使用ください。
【コスパ重視の構成】
最大回転数は35,000rpm。切削や小さめの歯牙の分割におすすめです。
マイクロモーターが3万円以内でしかもストレートHPが付属。コスパ抜群です。
【切削力重視の構成】
5倍速コントラで最大回転数は175,000rpm。
臼歯部の分割でも十分な切削力です。