アスフレックス : ASFLEX
~リスク管理としての縫合糸の“賢い選択”~
北里大学獣医学部卒業。全国の動物病院から依頼を受けて年間600件以上の手術を執刀し、また獣医学セミナーや模型や食肉を使用した実習等を行っております。
手術や外科処置における、もっとも重要な決定事項に縫合糸の選択がある。縫合糸の操作性や結紮強度、結紮張力維持期間そして組織反応などの優劣はそのまま手術リスクに関連し、治癒やときに生命予後さえ左右する。縫合糸選択の失敗による合併症は技術ではカバーできない領域であり、われわれは、常にその状況に最も適した縫合糸を“賢く”選択して、低リスク下での手術を行わなければならない。
医療あるいは獣医療で使用される縫合糸は、少しずつではあるが確実に進化をとげてきている。我々はよりよい治療を行うために、常に機器に関する情報を収集して改善していかなければならない。したがって、もし、数年にわたって同じ糸を使用しているのなら、自身の医療水準をもう一度確認してみる必要がある。「私はずっとこの糸でやってきているんだ」という言葉は自身の無知と時代遅れの医療レベルを公言していることに等しい。
ASFLEXは、近年になって心臓外科用に開発されたポリフッ化ビニリデン(PVDF)を原料とする縫合糸で、現時点で、組織の永久閉鎖に使用される縫合糸のなかで、もっとも高度な生体適合性と機能性をあわせ持った製品であり、手術リスク低減のために最優先で選択すべき製品である。具体的には、このASFLEXは、心臓外科のみならず、非吸収性縫合糸の適応となるすべての腹部外科、胸腔外科、心臓外科、そして形成外科医に至るまで広い適応を持ち、その高い操作性、低侵襲の組織貫通性と組織反応、そして確実な結紮強度の達成やその維持期間において、従来のgold-standardであるprolene®やPDSⅡ®を、しのぐ性能を有している。今後の獣医領域の手術においてもリスク管理の一環として選択されるべきと考えられる。
表1 アスフレックスは結紮8年後にもその張力の9割以上を維持しており、プロリーンに対しても優勢である。さらに組織反応においても優れる。
結節抗張力の高さ
従来の合成非吸収性縫合糸を上回るスムーズな滑り下ろし、適度なコシ。アスフレックスの優れた特性がより確かな操作性を生みます。また、張力劣化が少なく、組織反応も最小限に抑えられます。
表2 アスフレックスの性能はUSP規格を大きく上回り、プロリーンよりも優勢である。
PVDF、PPの平滑性データ
表3 組織通過時の平滑性_プロリーンよりもさらに低い抵抗で組織を通過する。
図表提供:株式会社クラウンジュン・コウノ